腰が痛い、肩が痛い時ははりきゅういんへ



HOME > 症状解説


運動器系疾患

LinkIcon2013年08月21日

腰痛

iStock_000018684888XSmall.jpg腰部は月(にくづき)の要(かなめ)であり、生活上あらゆる動作の安定した動きの源になります。
ゆえに、疲労を感じやすく、また痛みも感じやすいといえます。ひと言に腰痛といってもその病態、解剖学的位置関係、痛み方により以下のような種類がみられます。
また、主因が椎間関節であってもその周辺の筋肉、筋膜、靭帯なども同時に発痛源となりえるので非常に複雑でもあります。

腰痛 : 筋収縮 → 循環障害 → 疲労 → 痛み

鍼灸治療 → 循環の改善 → 筋力強化 → 閾値の変化



1.椎間関節性腰痛

腰痛の原因が椎間関節部に存在するものを総称した呼び名で、ギックリ腰の最も代表的な病態です。側弯、おしりへの放散痛、前後屈すると痛みによる制限があります。関節包の過伸展による炎症や出血、部分断裂を起こし、急性腰痛を発症させます。
この椎間関節は、中高年以上になると次第に加齢による変性が起こり、関節軟骨の摩耗や消失、または骨棘が生じたり、関節の適合が悪くなります。そのため関節包の異常緊張や滑膜の炎症を生じさせ、慢性腰痛の原因となります。
椎間関節性腰痛は、急性も慢性もほとんどがL5椎間、またはL4椎間に起こるといわれており、比較的腰部下方から上臀部にかかります。




2.筋・筋膜性腰痛

ギックリ腰の病態で2番目に重要視されているのが筋・筋膜性腰痛です。脊柱起立筋と呼ばれる筋群や多裂筋や回旋筋などの深い部分の筋肉、外腹斜筋や殿筋などに痛みが及びますが、比較的上位に痛みが多いようです。どちらかというと片側性のものが多く、痛みのない方へ側弯しているといわれています。
急性期は局所の熱感がみられることもあり、その後循環障害が原因となり慢性化していくことがあります。とくにオーバーワークによる筋肉の緊張などから循環障害、酸素欠乏、疲労物質の蓄積という悪循環をきたし慢性の筋肉痛を起こします。





3.変形性脊椎症

40歳以後にみられる慢性の腰痛です。動作開始時に痛み、動いていると軽減してきます。朝昼よりも夕方の方がつらいことが多いです。特徴的な臨床症状を持たないのが特徴です。





4.腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の中心には「髄核」があります。髄核中の物質が線維輪の断裂によって後方に飛び出し、馬尾神経や神経根を圧迫します。髄核物質の脱出する方向、大きさ、脱出の仕方によって様々な症状を呈します。
注意したいのが尿が出にくいといった症状ですが、レッドフラッグといって緊急に病院での診察が必要なサインですので、鍼灸院よりも病院に直行して下さい。
椎間板ヘルニアは比較的若い男性に多いようです。20~40歳代で80%を超えるというデータがあります。痛みの為に側弯し、脊骨の痛みによる運動制限があります。自発痛、夜間痛などもみられ、神経の知覚障害を生じます。





5.椎体圧迫骨折

老人性骨粗鬆症を基盤として発症します。転落や交通事故など外傷性のものもありますが、特に閉経後の女性ではわずかな外力でも骨折を起こす事があります。 
例えば、爪を切ろうと前屈した時、靴下をはく時、車で上下にバウンドした時など日常動作でも容易に骨折することがあります。好発部位は第11胸骨から第2腰椎で、胸腰椎移行部に多発します。レントゲンでも明瞭な骨折像の認めにくいこともあるので年齢、性別、誘因、疼痛域、棘突起叩打痛などで臨床診断を行います。予後は良好で1ヶ月くらいで症状の緩解を見ます。




6.脊椎分離・すべり症

脊椎すべり症は大きく分けて分離すべり症と、仮性すべり症に分けられます。分離すべり症は成長期におけるスポーツなどによる疲労骨折です。触診で階段状の段差を触れることができます。上記の条件でやや難知性のものは本症の可能性が高いでしょう。
仮性すべり症は50歳以後の女性に多く、L4椎体が前方にすべっています。時に下肢のしびれ感、筋力低下、大腿・下腿部痛があり、重症では根性坐骨神経痛や排尿障害、間欠跛行を呈します。





7.姿勢性腰痛

日常の不良姿勢などが習慣となるとやがて円背の姿勢が固定化され腰部の前弯が増強し、脊柱起立筋が硬くなり、筋肉の疲労が蓄積されます。そのため血流循環が悪くなり、また筋疲労が進みます。
腰椎の前弯増強が長期にわたって持続するとやがて椎間関節に障害を起こしてきます。姿勢性の腰痛は激しい痛みよりもむしろ腰部の倦怠感、ツッパリ感、鈍痛を訴えます。




8.仙腸関節障害

仙腸関節部を中心に臀部から大腿部にかけて痛みを訴えて、坐骨神経痛などと紛らわしいことがあります。仙腸関節障害は、外力によってこの部の関節包や靭帯に損傷を起こしたり、女性では出産時における骨盤の拡張によって損傷を生じることもあります。




9.スプラングバック

腰椎の棘突起上には棘上靭帯があり、棘突起間には棘間靭帯、棘間筋が付着していて、過伸展、部分断裂、炎症により発症します。痛みは下部腰椎真ん中で、よく「背骨が痛い」という表現をします。前屈や後屈で痛みが生じ、女性に多いような感触もあります。




10.内臓性腰痛

消化器、泌尿器、婦人科疾患などが原因の腰痛です。腹痛や、排尿異常、不正出血など腰痛以外の症状があったり、痛みが背骨の運動に関係なく、安静にしていても軽減しない場合は病院で調べてもらいましょう。




11.癌転移による腰痛

じっとしていても痛く、寝ても痛い、動いても痛い、安静にしても痛い、しかも進行性の場合、脊椎や脊髄の腫瘍が疑われます。何はともあれ速やかに病院で調べて下さい。




運動器系疾患2

LinkIcon2013年08月22日

肩関節痛

iStock_000015101769XSmall.jpg肩が挙がらない、肩が痛い、=五十肩と思っておられる方が多いようです。しかし実際は五十肩以外の疾患であることもあります。症状により治療方法や使う穴も違ってきますので、しっかりとした鑑別診断が必要です。以下に代表的なものを説明いたします。





1.腱板炎

私の印象では非常に多い症状です。そのほとんどが加齢を基盤とした腱の炎症です。肩甲骨についている筋肉が合わさって腱板というスジになりますが、その部分が使い過ぎにより炎症を起こすのです。レントゲンでは証明できない程度の部分断裂を起こしている場合もあります。五十肩よりずっと治しやすいですが、放置していたり、少し良くなったといってまた仕事を再開すると五十肩に移行して長期の治療が必要になります。




2.長頭腱炎

「上腕二頭筋長頭腱腱鞘炎」といい、力こぶを作るときの筋肉の骨にくっつくスジの部分の炎症です。五十歳以上の年齢になると周辺組織へ影響して硬縮などを起こし、五十肩へと移行します。
三十歳前後の年齢層では関節硬縮はほとんど起こりません。より早く治すためには炎症部分の安静が必要です。



3.五十肩

非常に多く遭遇する疾患ですが、実はいまだ十分な解明がされておりません。発生原因は大きく分けて2つのルートがあるとされています。1つは腱板、もう一つは上腕二頭筋長頭腱です。上記に説明したように年齢的な変性と使い過ぎによる炎症、それが周辺の組織にまで波及するというメカニズムです。肩関節周辺組織や関節包に炎症がおこると、防御反応として筋肉の緊張が起こり、肩関節の運動制限が起きます。
炎症が肩峰下滑液包という部分に達すると夜間痛や著しい自発痛を起こします。急性の炎症がなくなるとともに痛みもやわらいできますが、この頃より癒着が進行し、肩関節の運動制限は逆に増強します。つまり、初めは「痛くて挙げられない」のが次第に「固まって挙げられない」という2段階の経過をたどります。よく五十肩だから肩を良く動かしなさいと指示されると思いますが、それは「固まって挙げられない」時期に行うべきであって、初期の「痛くて挙げられない」時期は炎症があるので無理に動かすべきではありません。



4.石灰沈着性腱板炎

肩関節疾患の中で最も激しい痛みを訴える疾患です。一睡もできないほどの激しい痛み、どの方向にもほとんど動かす事ができません。何か悪い病気か、祟りか、と不安に駆られる方も少なくありませんが、大部分は順調な経過をたどり、予後も悪くありません。


うつ病・自律神経失調症

LinkIcon2013年09月21日

厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成20年には104.1万人と9年間で2.4倍に増加しました。
「患者調査」は、医療機関にかかっている患者数の統計データですが、うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており、実際にはこれより多くの患者がいることが推測されます。


img_dyp_01.png

厚生労働省HPより抜粋


なぜここまでうつ病が増えてしまったのでしょうか?
それは21世紀に入って別次元のレベルに深化したのではないかと推測されたストレス社会です。原因はストレス。誰もがわかっているストレス。近年、整形外科でも原因のわからない腰痛もストレスと言われるようになりました。ですからそのストレスを撃退すればうつ病や自律神経失調症は回復していきます。ストレスが無くなれば、めまいや耳鳴り、食欲不振、不整脈、のどの違和感などの自律神経症状も取れていきます。


様々な症状を引き起こすストレスですが、
実は4種類あるということをご存知でしょうか・・・?



1.精神的ストレス

人間関係・仕事・育児など、精神的に苦痛と思うストレスの全て。
うつ病や自律神経失調症の症状に対しての不安感・恐怖感・絶望感なども精神的ストレスに入ります。


2.構造的ストレス

骨盤のゆがみ、背骨のゆがみ、姿勢のゆがみ、内臓の機能低下、ホルモンの分泌低下によるストレス。
肩コリや腰痛は分かりやすい症状ですが、そのままにしておくと、肩こりや腰痛でイライラするようになり、それが精神的ストレスにもなります。


3.化学的ストレス

栄養の過不足、化学物質、添加物、たばこ、アルコール、紫外線、排気ガス、シンナー、など体内で化学変化を起こすストレスのこと。


4.温度・湿度のストレス

見逃しやすいですが、寒さや暑さ、また湿度の高すぎること、低すぎることのストレス




うつ病や自律神経失調症を治していくには、このストレスの分類が不可欠となります。
何故なら、うつ病や自律神経失調症の原因であるストレスを確実に減らしていくには、どんなストレスが、どれくらいあるのかを把握しなければならないのです。

あなたも自律神経失調症やうつ病は、ストレスが原因だということを知っていたと思います。
しかしあなたは「ストレス=精神的ストレス」と勘違いしていませんでしたか?これだけではあなた自身が行うストレス対策に、限りが出来てしまうのです。

例えば、精神的ストレスが少なく、構造的ストレスや化学的ストレスが多くて自律神経失調症やうつ病になっている場合に、一生懸命に精神的ストレスをなくそうとして、セラピーを受けて生き方を変えようとしても、それは全く無駄になってしまうのです。

この場合、原因の多くは精神的ストレスではなく、構造的ストレスや化学的ストレスなのですから、うつ病や自律神経失調症を治すには、構造的ストレスや化学的ストレスのを減らさなくてはいけないのですね。


ストレスの撃退にはすべてのストレスが絡んでいることを知り、優先順位を見極めることが重要です。